精神力
それでは、精神強化の第一の法則は「汝自身を知れ」です。この言葉は、ご存知かもしれませんが、古代ギリシャの大哲学者で学問の創始者とl言われるソクラテスが、神殿で見て感銘を受けたといわれることわざです。この言葉は中村天風先生が第一に影響を受けた言葉といわれています。自分自身は何者かを知ること。これが第一だというのですは。自分の精神力を強化するといっても、自分とは何か、自分の精神力の力とは何かを正確に知らなければ、強化しようがありません。これを知らなくては、ちょうどボクシングで、相手がどこにいるかもわからずに、やたらと労力を使い、空を打つ目の見えないボクサーと同じです。自分自身の精神、つまり、自分自身を正確に知ったときはじめて、確実な精神の強化法を知ることができるのは言うまでもありません。ところが、意外とこの根本のところをおさえないために、人生で苦しみ、多くの病気に悩まされ、人の言動に動かされ、くよくよして、実りのない空虚な人生を送る人が多いようです。そこで天風先生によると,汝、つまり、自分とは何かについてどのように人は考えるかという点から、その考え方から人を分類すると、おおよそ、人は三つの種類の人がいるとしています。
第一の種類の人間は、本能的人間です。このタイプの人は、物質的な肉体を自分自身だと考えている人です。このような人は、自分の肉体が自分自身と考え、心とはその肉体の要求や五感の感覚から本能的に発生してくると考えます。したがって、心というものは脳を含む肉体から派生した付属物であり、心は肉体よりも低級だと考えます。つまり【肉体=我】と考え、心はその肉体の付属物だと考えます。即ち、肉体の要求のままに動く動物と変わりなく、本能的な人間です。私たちの周りにもたくさんいます。したがって、肉体本位に考えているため、肉体の好調な時には、得意の絶頂ともいうべき気分の良さを味わいますが、ひとたび、肉体の病に侵されたり、肉体が不遇の状態に置かれると、最後のよりどころは肉体と考えているため、その生きる根拠がなくなり、たちどころにに弱くなり、全く別人のようになってしまい、苦しみや悩みに振り回されまくります。つまり、強そうに見えたけど、動物とあまり変わらない原始的な低い精神の持ち主ということができます。
第二の種類の人間は、理性主義的人間です。・・・・・・・・・・・・・・・次回へ