「施し」というと、すぐお布施や献金を思い出し、金品がないとできないものと思いがちですが,和顔、和語も金品にまさる施しの一つです。児童や少年少女にはお金があるわけがない。いつもにこやかにして(和顔)いるだけで周囲の人々に好感を与え、安心を与え、家庭・職場に光明をともします。「和語」。即ちやさしい思いやりのことばをつかうだけで相手の気持ちをなごませ、これこそ最上の施しだと思います。また、何もあげるものがなくても施しはできるものと道元禅師はいっておられます。「ほら、見てごらん。きれいな桜の花が咲いているよ。」「今夜すてきな番組があるわよ。」これも施しです。これなら誰にでもできるでしょう。宮沢賢治の詩にも「小欲・多施」の箇所があります。 一日に玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ ・・・・・・・・・・・・・・ 野原ノ松ノ林ノ陰ノ 小サナ萱葺(カヤブキ)ノコヤニヰテ 東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ッテ稲ノ束ヲ負ヒ 南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコワガラナクテモイイトイヒ 北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ
次に、トルストイ作の「大熊星」という民話を紹介します。訳者である米川正夫さんの言葉を最後に載せておきます。施しを主題にした美しい物語です。大好きな童話です。どうぞ一読のほどをお願いします。・・・・・・・・・・・・・・・・続く