長生治療院 院長のひとり言。

2014年08月15日

健康(4)

                   大熊星(北斗七星の話)     

 むかしむかし、この地球に恐ろしい大ひでりがありました。ありとあらゆる川、小川、井戸、なにもかもすっかり乾上がって木も藪(やぶ)も草も枯れてしまい、ひともけだものもかわき、日に日に死んでいきました。     

 ある晩一人の女の子が病気しているお母さんに飲ませる水を探そうと思って、杓(しゃく)を持って家を出ました。どこまで行っても水が見つからないので、女の子はつかれて野原の草の上に横になると、ついうとうと寝入ってしまいました。やがてふと目がさめて杓のえに手をかけた時、女の子はあぶなく水をこぼしそうにしました。杓はきれいな澄んだ水をなみなみとたたえているではありませんか。女の子はよろこんでそれを飲もうとしましたが、お母さんにあげる分が足りなくなると思って、杓を持って家へかけて行きました。ところが、あんまり急いだので、足元に犬がいるのに気がつかないで思わずつまずいた拍子に杓を取り落としました。犬は憐れっぽい声で鳴きました。女の子は急いで杓を拾い上げました。もう水はこぼれてしまったものと思いましたが、どうでしょう。ちゃんと杓の底に吸い付いてもとのままと少しも変りがありません。娘は手のひらに水を少し入れて犬にやりますと、犬はたちまちそれを飲みつくして、さも嬉しそうにはしゃぎました。娘がまた杓に手をかけると、木の杓が銀に変わりました。娘は杓を家へ持って帰ってお母さんにわたしました。するとお母さんは「わたしはどうせ死ぬんだから、いっそお前、自分でお飲み。」といって杓を娘に返しました。その瞬間、銀の杓が金に変わりました。その時娘はもうがまんしきれなくなって杓にくちびるをつけようとすると急に戸口から一人の旅人が入ってきて水を飲ませてくれと頼みました。娘はつばを飲みこみながら、杓を旅人にさしだしました。すると突然、杓の中に大きなダイヤモンドが七つ飛び出して、おまけにきれいな水がどんどんと、勢いよく流れ出ました。

 やがて七つのダイヤモンドは高く高く昇りはじめて、とうとう空に上がってしまうと、そこで大熊座になりました。

訳者のことば                                                                                    これは、古くからロシアの国に伝わっている昔話で、それをトルストイがとりあげて新しくつくったものです。トルストイは世界が生んだ最もすぐれた文豪の一人で、小説だけでなく、宗教、社会、政治、経済、教育その他、あらゆる人類の生活について立派な考えをもって「吾らは何をなすべきか」ということを教えてくれた人です。

 このお話を読んで、尊い自己ぎせいの精神、親切な友愛の精神を、よく味わうことが大切です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おわり

 

 

 

                                                  

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